週末に部屋の大掃除をした。
捨てるつもりで始めたのに、昔のノートや雑誌が出てきて、気づけば手が止まっていた。
結局、捨てられたものは少なく、ただ過去を掘り返しただけになってしまった。
部屋はあまり片付かなかったが、妙に疲れた。
過去を、掘り返した。
捨てるつもりだった。
だが、手が止まった。
記憶というものは、油断した瞬間に牙を剥く。
捨てられなかった。
結局、何も変わらなかった。
妙に疲れた。
戦場でもないのに、消耗していた。
残骸とは何か。
朽ちた鉄か。
砕けた装甲か。
それとも、捨てられなかった、記憶の欠片か。
男は過去を掘り返した。
葬ったはずのものが、そこにあった。
忘れたはずのものが、そこにあった。
死んだはずの時間が、まだ、息をしていた。
捨てろ。
断ち切れ。
前を向け。
だが、人はそう簡単に、過去を葬れるものではない。
残骸には、魂が宿る。
捨てられない者だけが、知っている重さがある。
部屋は片付かなかった。
だが男は、確かに何かと向き合った。
勝ったのか、負けたのか、それはわからない。
ただ、妙に、疲れた。
次回「残骸」。
捨てられなかったものが、男を作っている。


