買ったばかりのボールペンが、見つからない。
どこに置いたのか全く記憶がない。
仕方なく別のペンを使ったが、一日中気になっていた。
夜になって、ジャケットのポケットから出てきた。
奴が、消えた。
どこに置いたのか、わからない。
記憶を辿った。
だが、手がかりがなかった。
こういう時、焦っても意味がない。
一日中、気になっていた。
だが、俺は別の手段で凌いだ。
傭兵に必要なのは、状況への適応だ。
夜になって、奴は出てきた。
ジャケットのポケットの中に、ずっといた。
俺の捜索は、無駄だったのかもしれない。
だが、悪くなかった。
失われたものがある。
気づいた時には、もうなかった。
人は、なくして初めて、その存在を知る。
記憶を辿る。
行動を遡る。
可能性を潰していく。
だが、答えは、どこにもなかった。
あるはずの場所に、ないものがある。
この世には、そういう理不尽が満ちている。
別の手段で凌ぐ。
それが、生き残る者の流儀だ。
失ったものを嘆く暇があるなら、今あるもので戦え。
男は、一日を戦い抜いた。
そして夜、奴は、静かに戻ってきた。
最初から、そこにいたかのように。
失われたものは、消えていたのではなかった。
ただ、見えていなかっただけだ。
次回「捜索」。
見つからなかったものが、男を待っていた。

