枯れ芝の中に緑が見えた。
めっきり春めいてきたので芝が目覚めたと思い近づいてみると、なんと、雑草たちが元気に顔を出していた。
また今年も、終わらない雑草達との戦いと芝刈りが始まる。
雑草という言葉がある。
踏まれても、抜かれても、また生える。
そう呼ばれる者たちを、俺は何人も見てきた。
戦場に、そういう奴らがいた。
装備も、訓練も、運も、何もかもが足りてなかった。
それでも、奴らは生き残った。
なぜ生き残れたのか、俺にはわからない。
ただ、俺も、そのひとりなのかもしれなかった。
踏まれても、立つ。
撃たれても、立つ。
燃やされても、また立つ。
雑草と呼ぶか。
それとも、異能と呼ぶか。
戦場に屍を積み上げ、それでも消えない命がある。
精鋭も、英雄も、巨大な鉄の獣も、奴らを根絶やしにできなかった。
硝煙の向こうで、奴らは今日も立っている。
なぜ死なないのか。
なぜ諦めないのか。
神の気まぐれか。
それとも、呪いか。
弾が尽きても、血を流しても、泥に塗れても。
奴らは、止まらない。
生き残ることが、果たして幸運なのか。
それとも、次の地獄への、誘いに過ぎないのか。
戦場は今日も、奴らを求めている。
大地は、奴らを手放さなかった。
次回「雑草」。
最も弱い者が、最後まで残った。


