次回「兵站」

input // 原文

全く料理はできないが、夕食のカレー作りを手伝った。
玉ねぎをじっくり炒めたら、気のせいかもしれないが、いつもより甘みが出て、我ながらうまくできた。
家族にも好評だった。
単純なことだけど、嬉しかった。

monologue // 独白

料理は、俺の専門ではない。
だが、今日は手伝った。

玉ねぎを炒めた。
ただ、それだけだ。
気のせいかもしれないが、うまくできた気がした。

家族が、うまいと言った。
それが何なのか、俺には説明できない。

ただ、悪くなかった。
そういうことも、あるらしい。

next episode // 次回予告

戦場を支えるのは、銃でも装甲でもない。
誰もが知っている。
だが、誰もが忘れている。

男は、慣れない持ち場に立った。
専門ではない。
経験もない。
だが、やるしかなかった。
鉄を握る手が、今日は木の柄を握った。
それでも、手は動いた。

じっくりと、焦らず、丁寧に。
戦場では決して身につかない、そういう時間の使い方がある。
気のせいかもしれない。
だが、何かが、うまくいった。
それだけで、十分だった。

銃声も、砲声も、命令もない場所で、男は勝利した。
家族が、うまいと言った。
戦場以外にも、戦いはある。
そして時に、そちらの方が、難しい。

次回「兵站」。
最強の兵器は、温かい飯だった。