カワサキが2ストロークエンジンの復活を企てていると知った。
その昔、走っているバイクのほとんどが2ストレーサーレプリカだった時代があった。
あの頃のフィーリングが味わえるのなら、もう一度乗りたい。
環境保護のための技術的問題、販売などの商業的問題といった高いハードルが予想されるが、カワサキには頑張って欲しい。
期待して楽しみに待っている。
死んだと思っていた。
あの咆哮が、二度と聞けないと思っていた。
だが、奴は、生きていた。
封印されたはずの魂が、また目を覚まそうとしている。
俺の中で、何かが反応していた。
それが期待というものなのか、あるいは別の何かなのか、俺には判断できなかった。
ただ、もう一度だけ、あの咆哮を聞きたかった。
死んだはずの獣が、目を覚ます。
封印された咆哮が、地の底から這い上がってくる。
あの音を、あのフィーリングを、知っている者には、わかるはずだ。
かつて、奴らは戦場を駆けた。
街を、峠を、サーキットを、甲高い咆哮とともに切り裂いていった。
白い煙が、尾を引いた。
硝煙のように、濃く、鋭く、そして、懐かしく。
あの時代を生きた者たちの記憶に、あの白煙は今も染みついている。
消えたのではない。封印されていただけだ。
高い壁がある。
技術という壁が。
規制という壁が。
商業という壁が。
だが、壁は、越えるためにある。
越えられない壁など、戦場には存在しない。
幾多の困難を前にしても、奴らは諦めなかった。
あの咆哮を待つ者たちが、今日も空を見上げている。
男は待つ。
静かに、しかし確かに、待ち続ける。
戦場は、奴らの帰還を待っている。
大地は、あの硝煙を、まだ忘れていない。
次回「咆哮」。
死んだ獣は、まだ死んでいなかった。


